可逆圧縮形式のオーディオファイルの利用

ごく稀に「.flac」「.ape」「.tta」といった拡張子を持つファイルを見かけることがあります。
これらは可逆圧縮形式と呼ばれ、元の音源と全く同じ音質を保ったまま圧縮されているオーディオファイルです。
今回はこの高音質な可逆圧縮のオーディオファイルを利用する方法を紹介します。
可逆圧縮と非可逆圧縮
まずは可逆圧縮とはそもそも何なのかを説明しましょう。
圧縮形式は大きく分けると二つのものがあり、一つは前述の「可逆圧縮」、もう一つは「非可逆圧縮」と呼ばれ、これらは圧縮するファイルのタイプによって使い分けられています。
非可逆圧縮形式は画像・音楽・動画など、若干劣化しても問題がない場合に用いられます。
JPEG・MP3などがこれに当たります。
要するに圧縮後、完全に元に戻すことができないから「非可逆」というわけです。
これに対し可逆圧縮は圧縮後のファイルを100%元の状態に復元する必要がある場合に用いられます。
よく見かけるZIPやLZHなどもこれに当たります。
例えばテキストファイルを圧縮して、解凍してみたら圧縮前と文面がちょっと違った、なんてことになったら困るわけです。
話を戻しましょう。
要するに最初に書いた「ape」などのファイルは音楽を可逆圧縮しているため、音源と同じ最高音質で楽しむことができるというわけです。
確かにMP3などに比べてファイルサイズなどはかさみますが、こだわりのある方は試してみてはいかがでしょうか。
このページでは以下の形式について扱います。
- FLAC (Free Lossless Audio Codec)
- APE (Monkey's Audio)
- TTA (The True Audio)
- TAK (Tom's lossless Audio Kompressor)
- WMA (Windows Media Audio Lossless)
各形式紹介に表記してあるファイルサイズは231MBのwavファイルをそれぞれの形式の最高圧縮率でエンコードしたものです。
CPU負荷率はCore 2 Duo E6850 (3Ghz)でMedia Player Classicで再生した際のCPU使用率です。
ファイルサイズ : 164MB
CPU 負荷率 : 2%
FLACは比較的他の可逆オーディオより普及しているため、対応しているプレーヤーなども豊富にあります。
再生するだけならFLAC DecoderをインストールすればWMPなどのメディアプレーヤーでも再生できるようになります。
FLACファイルから無圧縮のwavファイルを作成したい場合は、FLAC公式サイトからFLACコーデックを入手してインストールすれば、GUI上でFLACからwavへのデコードが行えます。
APE (Monkey's Audio)
ファイルサイズ : 152MB
CPU 負荷率 : 9%
こちらも比較的普及の進んでいる可逆オーディオ形式です。
BHAのB's Recorder GOLD
などはデフォルトで読み書きに対応していたりします。
FLACと同じく、公式サイトからMonkey's Audioを入手してインストールすれば、GUI上でのwavへのデコードが可能です。
TTA (The True Audio)
ファイルサイズ : 159MB
CPU 負荷率 : 1%
他の可逆圧縮オーディオに比べ、圧縮/解凍速度が若干速いのが特徴です。
The True Audio公式サイトから「Tau Producer(Windows GUI)」を入手してインストールすればwavへのデコードが行えます。
TAK (Tom's lossless Audio Kompressor)
ファイルサイズ : 154MB
圧縮率、圧縮/解凍速度の両方に優れた可逆オーディオ形式です。
TAK 公式サイトからTAKを入手すればwavへのデコードが行えます。
WMA (Windows Media Audio Lossless)
ファイルサイズ : 157MB
CPU 負荷率 : 1%
Microsoft謹製の可逆オーディオ形式です。
Windows Media Player 9以降がインストールされていれば普通に使うことができます。
当然ながらWMPとの連携が強力ですし、可逆形式では珍しくタグにも対応しているため非常に扱いやすいです。
通常の音楽ファイルと同じ要領で扱うことが可能です。
また携帯音楽プレーヤなどにWMA対応とあっても、大抵このロスレス形式はサポートしていません。注意してください。
私はミュージックプレーヤはWMPを使っているので、扱いやすく圧縮率も悪くないWMA可逆を使っています。
一概にどれが一番優れているとは決められませんが、個人的にはWMA可逆がお勧めです。
しかしながら、ぶっちゃけ私の耳ではこれらの可逆オーディオとMP3 360Kbpsは聞き分けられません。どうやらMP3 256Kbpsが限界のようです。
まあ聞き分けられなくてもこだわりが大切ということにしておきましょう。